P 「え、『可愛い』って言ったこと?それともこの衣装自体が?」
由愛 「そういうことじゃなくて…」
P 「それともこれからこの格好でみんなの前に出て『こんにちは、ナルメア由愛です』って言うこと?」
由愛 「…それも確かに恥ずかしいですけど」
P 「じゃあ何だよ?」
由愛 「あの、プロデューサーさん……コスプレの質が悪すぎませんか?」
P 「何言ってんだよ、さっき言ったろ可愛いって」
由愛 「そういうことじゃなくて…例えばこのツノです」
P 「ドラフなんだから当然いるだろ」
由愛 「でもこの右のツノ、クロワッサンですよね…」
P 「いやちょうど手頃な大きさのがあったからさ」
由愛 「これ、みちるちゃんのパンですよね?いいんでしょうかこんな使い方して」
P 「大丈夫だろ、俺に食べてほしいって持ってきてたやつだし」
由愛 「…それならなおさらよくない気がします…」
P 「後で食べるからいいんだよ」
由愛 「右はそれでいいとしても問題は左のツノです……これ、とんがりコーンですよね」
P 「クロワッサンは一個しかなかったからな」
由愛 「…それにしてもとんがりコーンは」
P 「大丈夫だよ、これも後で食べるから」
由愛 「そんなバラエティ番組で食べ物が出てきた時の視聴者みたいな心配はしてません…気になるのはサイズです」
P 「確かに、ナルメアのツノの大きさは左右一緒だもんな…」
由愛 「あの、それ以前にサイズの問題が…」
P 「確かに、200人近くいたら後ろのほうとかツノ見えないかも」
由愛 「…事務所のアイドルほぼ全員呼んであるんですか…」
P 「まあな」
由愛 「200人近くの前で『ナルメア由愛』って言うんですか…頭にクロワッサンととんがりコーンをつけて…」
P 「大丈夫だって、ほら腰に刀付いてるだろ?これを抜いて構えればそれっぽく・・・」
由愛 「…あの、クロワッサンにしてもとんがりコーンにしてもそのままでは髪には留められないですよね」
P 「そりゃあな」
由愛 「なので今、クロワッサンととんがりコーンを髪に留めるのに両手がふさがってます…」
P 「つまり剣は持てない、と」
由愛 「…はい」
P 「じゃあこうしよう、ナルメアはレベル上限を解放すると剣を太股に挟むようになるんだ」
P 「それなら両手ふさがってても大丈夫だろ」
由愛 「……」
P 「剣を抜いて…それじゃ挟むぞ。…ほら一気にそれっぽくなった」
由愛 「…あの、プロデューサーさん」
P 「どうした?」
由愛 「これは…当然このままみんなの前まで歩いていくんですよね」
P 「そりゃそうだろ、まさか俺が人前で剣を股に挟むわけにはいかない」
由愛 「その光景…もう何かのパフォーマンスにしか見えないと思います…」
P 「言われてみれば…刀がなんか大道芸感出してんのかな」
P 「よし、絵筆にするか」
由愛 「両手がふさがった状態で…足に絵筆を挟んで…」
由愛 「…その後はもうそれで絵を描く流れですよね…ますますパフォーマーに近づいてませんか…」
P 「うーん、じゃあもうパフォーマーでいいや」
由愛 「…え?」
P 「まずは前座代わりに口から万国旗でも出してやれ」
由愛 「…両手ふさがっているのに誰が引っ張り出すんですか…?」
P 「うーん、やっぱり無理があったかな」
由愛 「…『やっぱり』って言いましたよね今」
P 「こうなると元から見直さないと…そうだ!」
由愛 「えっ?」
P 「なんで気が付かなかったんだ!左右のツノの大きさに差があるならナルメアじゃなくてアルルメイヤにすればよかったんだ!」
由愛 「問題はそこじゃないような…」
P 「よし、『アルルメイヤ由愛』に変更だ!」
由愛 「…えー…」
#モバマス版深夜のSS書き1本勝負 の企画で書いたものです。